きめたおしのひとりごと

自分が楽しんだできごとを気ままに綴ります

中山道広重美術館 「東海道をゆく」展(後期)

2022年11月26日(土)

中山道広重美術館 「東海道をゆく」展(後期) 

 

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中山道広重美術館へ「東海道をゆく」展(後期)を観に行ってきました。美術館は外壁の工事のためか足場が組まれていましたが、展示自体は開催されています。

 

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前期に引き続き、本展示では6種「保永堂版」「狂歌入」「行書版」「隷書版」「竪絵」「双筆」の東海道シリーズの構図を並べながら比較できるというもの。

 


後期展では掛川から京師までということで、「旅行用心集」という江戸時代の旅行ガイドブックに登場する神様「ハクタク」とともに擬似的に旅行を体験していきます。

 


前期展の時も言及しましたが、当館のコレクションの多くは色もよく残っており、中折れものもわずかで、特に行書版のコンディションの良さは特筆ものと思われます。

 


東海道は中京方面に入り、海の道あり山の道ありで、バラエティに富んだ風景、構図が見られます。たびたび登場する留女と旅人との駆け引きの表情はユーモラス。全体的に「保永堂版」の繊細さはやはり良いなぁと思いつつも、「行書版」「隷書版」の人物表現も面白いですし、空撮したような「竪絵」のダイナミックさも良いですね。

 


当時の一般庶民は木賃宿での自炊だったと思いますが、行書版 「関 旅籠屋見世之図」の店内には「諸国商人御定宿」の行燈が。江戸時代にもしっかり「ビジネスクラス」が存在していたのだなと思い知らされます。(笑)

 


擬似的に旅を続けてきて、最後の京師に到着した時の晴れやかさと言ったらいかばかりでしゃう。茶筅売りや被衣姿の女性など、江戸には見られない出で立ちの人々を見た当時の旅人は、さぞかし胸を躍らせたことでしょう。

 


前期・後期全ての展示を閲覧しましたが、大変見応えのある企画でした。

 


実際に浮世絵を擦る体験ができるコーナーでは、今回は北斎の「富嶽三十六景 凱風快晴」と広重の「東海道五拾三次 箱根」にチャレンジ。少しズレが発生していまいましたが。。。まぁ仕方ないですね。(笑)

 

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今日も帰りは「おぎの」さんの美味しい五平餅をいただいて帰路に着きました。

セイジ・オザワ 松本フェスティバル 30周年記念 特別公演

2022/11/25(金)


セイジ・オザワ 松本フェスティバル 30周年記念 特別公演

アンドリス・ネルソンス指揮

サイトウ・キネン・オーケストラ

マーラー  交響曲第9番

 

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アンドリス・ネルソンスが松本でサイトウ・キネン・オーケストラを振る。そのこと自体が奇跡のように思えてならない一日でありました。


当初、プログラムはマーラー交響曲第7番が検討されていたようですが、最終的に小澤総監督がマーラー交響曲第9番で行くと決められたとのこと。この曲は小澤総監督の大得意演目ですが、コロナ禍やウクライナ侵攻など世界の悲惨な出来事の状況を踏まえ、平和への万感の思いをネルソンスに託したのではないかと推察します。


ネルソンスは終始急ぎ過ぎずしっかりとしたテンポ。特に木管をくっきりと浮かび上がらせ、中域を大事にしている印象。随所に感動的な響きが現出します。


サイトウ・キネン・オーケストラはただネルソンスに着いていくというだけではない、共創的な演奏を聴かせてくれます。木管と弦が渾然一体とした響きを放つ瞬間や、弦楽全体のうねりのような響きを放つ瞬間が幾度となく訪れて、「これこれ、これがサイトウ・キネンサウンドだ!」と悦に浸った方も多かったのではないでしょうか。私もそのひとりです。


第4楽章はひたすらに祈りの音楽。先述の小澤総監督の思いも乗り移っていたように思います。最後、ネルソンスが振り終わってから、どのくらいの時間、静寂が支配していたでしょうか。その後、小澤総監督がステージに現れたときのあたたかい拍手…。


小澤総監督の思いとサイトウ・キネン・オーケストラアンドリス・ネルソンスの熱演。フェスティバル30周年の節目の公演に、心から満足して帰路に着いたのでありました。

 

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日本浮世絵博物館 「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)

2022/11/12(月)

 

日本浮世絵博物館 「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)

 

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11月に入り、特別展示品(1点)のみ入れ替えがあったため訪問しました。駐車場に観光バスが入ってくるなど、少しずつ客足も戻ってきているように思います。

 

歌川広重 東海道五十三次之内 「蒲原」

 

さまざまな樹種の木々の梢に積もり、やさしく降り来る雪。

静けさを湛えた街道の家々の軒。

夜空だけではなく、地面の雪のグラデーション。

 

大変状態が良く、輪郭はシャープでぼかしも美しい逸品でした。

 

後期展示では、同図の刷り違いの展示予定があるとのこと。

今回の特別展示品は天ぼかしですが、後期展示は地平線付近から上部へのぼかし刷りが見られる予定です。

 

せっかくなので、既に観覧した前期展示をもう一度見てから帰りました。

 

11/15(火)からの後期展示も楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 

 

松本市美術館 「鹿児島市立美術館 名品展」

2022/10/16(日)

松本市美術館 「鹿児島市立美術館 名品展」

 

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姉妹都市のご縁ということもあり、松本市美術館に「鹿児島市立美術館名品展」が来ていたので観てきました。維新後からいち早く西洋画を吸収していった薩摩出身画家の作品、本場の西洋画、桜島を題材にした作品などをコレクションの主軸に据えているそうで、本展も大きくその3カテゴリーに分けての展示となっていました。


床次正精「西郷肖像」

あぁ、私たちの多くが知っている西郷どんはこのお顔ですよね、と言う感じのまん丸まなこに太い眉の西郷どん。大判に陸軍軍服が映えます。


樋口五葉の浮世絵調木版画耶馬溪

雨の中を馬が弾く荷車が奥に向かって歩いて行くノスタルジックな作品。何故この浮世絵風木版画という古風な表現方法を取ったのか。だがこの表現方法しかあり得ない。そういった気持ちにさせれくれる作品でありました。


モネ「睡蓮」

近くで見るのと少し離れてみるのとだいぶ印象が変わりますね。離れてみる方がより柔らかい印象。


ピカソ 「貧しい食事 」

エッチングも使い古しの版を使用していて、当時の本人の金銭的な余裕の無ささえも感じさせます。


ダリ 「三角形の時間」

深い緑色、青色が非日常感を感じさせてくれます。


ヘンリー・ムーアほかブロンズ 3体

ブロンズも収集対象とされているんですね。作品の裏側まで見られてお得でした。


黒田清輝桜島噴火」

1914年当時の噴火の大変さが、小判ながらも連作でよく伝わってきます。どのような現象が発生したのか、気象学的な資料的価値もあるのでしょうね。


加山又造桜島

金やプラチナも使っているとのことで、彫刻的な彫りの深い表現だなぁと思いました。

 

3カテゴリーともに質の高いコレクションで、2時間ほど滞在してしまいました。それでももう一度観たいなぁと思うくらいでした。


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日本浮世絵博物館 「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)ギャラリートーク

2022年10月15日(土)

日本浮世絵博物館 「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)ギャラリートーク

 

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楽しみにしていたギャラリートーク学芸員さんの案内で、酒井系五代二百年にわたるコレクションの由来や、普段他の美術展ではあまりお目にかかることのない絵師の展示を実物を観ながら説明していただきました。


主な出展絵師


歌川豊広

鳥居清峯

菊川英山

勝川春扇

歌川国直

柳川重信

歌川国丸

歌川国安

歌川貞秀

歌川芳幾

歌川貞秀

歌川芳艶

落合芳幾


歌川歌麿

歌川豊国

歌川豊広

渓斎英泉

歌川国貞

歌川広重

葛飾北斎

歌川国芳

 

春扇いとおしい。(笑)


豊広の絵の青は植物性の絵具で、ベロ藍と異なり非常にデリケートである点など、実物を見比べながら聞くことができ大変参考になりました。後期展も楽しみです。

 

 

日本浮世絵博物館 「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)

2022年10月10日(月)

日本浮世絵博物館 「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)

 

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日本浮世絵博物館の「日本浮世絵博物館 会館40周年記念 優品でたどる 酒井コレクションのはじまり」展(前期)を観に行ってきました。

 

開館40周年記念ということで、10万点を超えるコレクションの中から、どのような作品が選ばれているか興味深いところです。


松本城下の商家酒井家六代目の平助さん(1776〜1842)のころからのコレクションが今日も続いていることは有名です。


今月の特別展示は渓斎英泉の「美人会中鏡 時世六佳撰」。艶やかな表現に下唇の「笹紅」が映えます。


歌川国政の「初代尾上松助の山姥 二代目嵐雛助碓井貞光 初代岩井粂三郎の怪童丸」は生き生きとした表情と躍動感のあるポージングが魅力的。


勝川春奥の「大黒天」は大黒さまと美人と背景の対比がおもしろく、いかにも縁起がよさそうな一枚。


歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯智深初名魯達」は彫りの深い表現と豪快な動きに圧倒されます。色彩も良好。


葛飾北斎「大伴の真鳥 大友宿禰兼通」は北斎の武者絵。両者が武器を持ち防具を付け両者がじょう上下に睨み合う様子は緊張感を感じさせます。


日本で一番売れた浮世絵ではないかというシリーズ、歌川国芳「誠忠義士伝」。そのうち「早野勘平常世」「中村諫助匡辰」「富守祐右衛門正固」が展示されていました。江戸時代のスーパースター四十七士のブロマイドといったところでしょうか。さぞ売れたことでしょう。「富守祐右衛門正固」は胡粉散らしの手法が使われていて、ただ売るだけでなく、凝った表現になっていたようです。

 

前期展では1810年頃から1869年頃までの作品を追って観ることができましたが、後期展ではどうなりますでしょうか。

 

ギャラリートークにも別途参加してみたいなと思います。

中山道広重美術館 「東海道をゆく」展(前期)

2022年10月9日(日)

中山道広重美術館 「東海道をゆく」展(前期)

 

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中山道広重美術館へ「東海道をゆく」展(前期)を観に行ってきました。中山道広重美術館といえば、良質な「木曽街道六十九次」が有名で、毎年9月には一堂に展示されます。


今回は東海道とのことで、どのような展示になっているか楽しみなところです。

 

会場内入口の説明によると、本展示では6種「保永堂版」「狂歌入」「行書版」「隷書版」「竪絵」「双筆」の東海道シリーズを並べながら比較できるというもの。


当館のコレクションの多くは色もよく残っていて、中折れものもわずか。


やはり繊細さと美麗さでは「保永堂版」に軍配が上がり、個人的にも最も好きな版ですが、「隷書版」の質実剛健さにも心が惹かれます。「竪絵」は俯瞰した眺めがドローン空撮のようでこちらも楽しい。どれも捨て難い魅力があります。


「保永堂版」の「日本橋」「三島」「蒲原」は何度見てもしみじみとした旅情を感じる名作ですね。「箱根」の迫力も素晴らしいです。ず〜っと眺めていられます。


前期展では日本橋から掛川までということで、続きは後期展でのおたのしみということになります。


実際に浮世絵を擦る体験ができるコーナーでは、今回は広重の「不二三十六景 駿河冨士沼」にチャレンジ。まずまずの出来かなと思います。(笑)このコーナーは作品の入れ替えもえるようです。(前回来館した時は「雨の中津川」がありました)


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帰りは「おぎの」さんの極ウマな五平餅をいただきました。香ばしさと甘さの絶妙なバランスに心から満足したのでした。

 

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