きめたおしのひとりごと

自分が楽しんだできごとを気ままに綴ります

セイジ・オザワ 松本フェスティバル 30周年記念 特別公演

2022/11/25(金)


セイジ・オザワ 松本フェスティバル 30周年記念 特別公演

アンドリス・ネルソンス指揮

サイトウ・キネン・オーケストラ

マーラー  交響曲第9番

 

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アンドリス・ネルソンスが松本でサイトウ・キネン・オーケストラを振る。そのこと自体が奇跡のように思えてならない一日でありました。


当初、プログラムはマーラー交響曲第7番が検討されていたようですが、最終的に小澤総監督がマーラー交響曲第9番で行くと決められたとのこと。この曲は小澤総監督の大得意演目ですが、コロナ禍やウクライナ侵攻など世界の悲惨な出来事の状況を踏まえ、平和への万感の思いをネルソンスに託したのではないかと推察します。


ネルソンスは終始急ぎ過ぎずしっかりとしたテンポ。特に木管をくっきりと浮かび上がらせ、中域を大事にしている印象。随所に感動的な響きが現出します。


サイトウ・キネン・オーケストラはただネルソンスに着いていくというだけではない、共創的な演奏を聴かせてくれます。木管と弦が渾然一体とした響きを放つ瞬間や、弦楽全体のうねりのような響きを放つ瞬間が幾度となく訪れて、「これこれ、これがサイトウ・キネンサウンドだ!」と悦に浸った方も多かったのではないでしょうか。私もそのひとりです。


第4楽章はひたすらに祈りの音楽。先述の小澤総監督の思いも乗り移っていたように思います。最後、ネルソンスが振り終わってから、どのくらいの時間、静寂が支配していたでしょうか。その後、小澤総監督がステージに現れたときのあたたかい拍手…。


小澤総監督の思いとサイトウ・キネン・オーケストラアンドリス・ネルソンスの熱演。フェスティバル30周年の節目の公演に、心から満足して帰路に着いたのでありました。

 

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